どうも皆さんこんにちは、そらまめです。
さて、突然ですが皆さんは「生命の始まり」と聞いて、どんな場所を思い浮かべますか?多くの人は、太古の地球にあった「原始の海」をイメージするかもしれませんね。

でも、もし。もしもその最初の“種”が、この地球上ではなく、はるか彼方の宇宙空間で作られていたとしたら…?

今日はそんな、私たちの常識を覆すかもしれない、とても刺激的な研究を紹介したいと思います。
生命の進化は宇宙から始まるのかもしれない (The evolution of life may begin in outer space) 出典:マックス・プランク研究所 Research News
※マックス・プランク研究所 ドイツ最大の科学研究機関で多くのノーベル賞授賞者、超一流の研究者を輩出している研究所です。前身はカイザー・ヴェルヘルム研究所で、1918年にノーベル物理学賞を受賞したマックス・プランク(Max Karl Ernst Ludwig Planck)が設立しました。
1.宇宙で見つかった生命の材料
研究チームが観測したのは、オリオン座にある若い星。この星の周りには、将来惑星になるであろうガスとチリが渦巻く円盤(原始惑星系円盤)が広がっています。まさに「惑星のゆりかご」です。

研究チームは、チリにあるALMA望遠鏡という巨大な電波望遠鏡を使って、この円盤を詳しく調べました。
すると、なんとそこから「生命の部品」の材料にあたる物質、グリコールニトリルやエチレングリコールといった、複雑な有機分子のサインを捉えることに成功したのです。

つまり、家を建てるための「資材」が、惑星という「土地」が完成するよりもずっと前に、すでに「建設現場」に運び込まれていた、ということになります。
2.ついに覆された定説
これまでの天文学では、惑星が誕生する際の激しいエネルギーや放射線によって、もともと宇宙空間にあった複雑な分子は一度バラバラに壊されてしまうという「リセット説」が定説でした。
そして、生命に必要な分子は、惑星ができた後に、その星の環境でゼロから作り直される、と考えられていました。
しかし、今回の発見はこの説に一石を投じます。
若い星が一時的に放った強いエネルギーが、円盤の外側にある氷を溶かし、その中に閉じ込められていた有機分子をガスとして放出しました。そのガスの「指紋」をALMA望遠鏡が捉えたのです。
これは、生命の部品が惑星誕生のエネルギーにも耐え、「親」である星間雲(星の材料)から「子」である惑星系へと、化学的な豊かさを引き継いでいることを示唆します。リセットされるのではなく、むしろ「継承」され、さらに進化していくのかもしれません。
3.私たちは、宇宙人かもしれない!
この発見が意味する、最も胸が躍る可能性。それは、「生命の材料は、宇宙のどこにでも普遍的に存在するのかもしれない」ということです。

地球だから特別だった、のではなく、生命の種となる有機分子は、適切な環境さえあれば宇宙の至る所で組み立てられ、惑星に降り注いでいる。そう考えると、地球外に生命が存在する確率は、私たちがこれまで考えていたよりも、ずっと高いのかもしれません。
もちろん、部品があるからといって、必ず生命が誕生するわけではありません。惑星の環境という、多くの奇跡的な条件が重なる必要があります。
それでも、私たちが夜空を見上げる時、そこに輝く無数の星々のどこかで、地球と同じように「生命の種」が芽吹こうとしている…。今回の発見は、そんな壮大な想像を掻き立ててくれる、まさに宇宙からのビッグニュースと言えるでしょう。
私たちの体の材料も、もとをたどれば遠い星のチリだったのかもしれませんね。
出典: Max Planck Institute for Astronomy, “The evolution of life may have its origins in outer space”, Research News, July 24, 2025.
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