スーパーの棚から始められるゆる漢方―生姜で、心とからだをじんわり温める―

ヘルスケア

寒さが続く日や、なんだか気持ちが沈む日、あるいは体のリズムが乱れて疲れが取れない——そんなとき、ふと「何かに頼りたい」と思うことはありませんか?

特別な薬や高価なサプリを買わなくても、漢方の知恵は私たちのすぐそばにあります。そのひとつが、スーパーの棚に並ぶ「生姜」です。今日は、この身近な食材が持つ、漢方医学的なパワーに触れながら、ゆるやかに自分を整えていく「ゆる漢方」の始め方をご紹介します。


生姜って、実は漢方薬だった

生姜(しょうが)は、漢方医学においては「生姜(しょうきょう)」という名で登場します。漢方薬の中でもかなりポピュラーな存在で、風邪の初期や冷え、胃腸の不調などに用いられます。

漢方では、生姜の働きは主に以下の3つです。

  1. 身体を温める
    漢方では「冷えは万病のもと」とされ、冷えが血行不良や疲労、不妊などさまざまな不調の原因と考えられています。生姜には「温性」という性質があり、体の中からぽかぽかと温めてくれます。
  2. 気の巡りをよくする
    気とは、身体と心を巡るエネルギーのようなもの。ストレスや不安で「気」が滞ると、イライラしたり、眠れなかったり、月経のリズムも乱れがちに。生姜は「気」を動かす力があり、心も体もほぐしてくれます。
  3. 胃腸を整える
    漢方では、胃腸の状態をとても重視します。生姜は消化を助け、胃もたれや食欲不振を改善する作用があります。特に「冷たい飲み物を飲みすぎてお腹が冷えた」ときなどにぴったり。

女性のための「生姜の処方箋」

20代以降の女性にとって、生姜はとても頼れる味方です。とくにこんな悩みを抱えている方に、おすすめです。

◆ 手足の冷えがつらい

冷え性は女性に多い悩みのひとつ。オフィスのエアコン、薄着のファッション、ストレスによる自律神経の乱れ……冷えの原因は現代生活の中にたくさんあります。
→朝の白湯に、すりおろし生姜をひとさじ
シンプルだけど、じんわり体が目覚めていきます。

◆ 生理前のイライラや落ち込み

月経前症候群(PMS)の症状には、気の巡りが滞っているサインが隠れていることがあります。
→生姜紅茶で、気分もゆるめて
紅茶も温性で、気を巡らせる働きがあります。黒糖を少し加えてもOK。

◆ 食べすぎ・胃のもたれ

外食や不規則な食事で胃腸が疲れているとき。
→生姜入りのスープで、胃をいたわる
たとえば鶏とネギの生姜スープ。優しい味で、体にしみ渡ります。


スーパーの棚から始める「ゆる漢方」のすすめ

漢方って、なんだか難しそう…と感じる方も多いかもしれません。でも実は、漢方の考え方は「自然と調和して生きる」ことが基本。私たちの台所には、その智慧が詰まっているんです。

「スーパーの棚から始められるゆる漢方」は、薬局に行かなくても、漢方の知恵を生活に取り入れていくアプローチ。生姜のほかにも、たとえばシナモン(桂皮)、黒豆(黒大豆)、陳皮(みかんの皮)なども、日常的に使える「漢方的食材」です。

まずは「ちょっと調子が悪いな」と思ったときに、生姜を使ってみる。それだけで「自分の体を大切にする」スイッチが入ります。そしてその小さな一歩が、漢方の世界への扉を開いてくれるかもしれません。


漢方は、暮らしの中の哲学

漢方医学は、ただ病気を治すだけでなく、「どうすれば自分らしく、自然体で生きられるか」を教えてくれます。生姜ひとつをとっても、そこには「冷えを感じるなら温めてあげよう」「体がつらいなら休ませてあげよう」という、やさしいメッセージが込められています。

忙しさや不安に押し流されがちな現代だからこそ、漢方のゆるやかな視点を、日々の中に取り入れてみませんか?
次にスーパーに行ったとき、棚の端っこでこっそり輝いている生姜が、あなたの心と体にそっと寄り添ってくれるかもしれません。

コメント

タイトルとURLをコピーしました