仕事にプライベートに忙しい毎日。生理前になると気分が落ち込んだり、冷えやむくみに悩まされたり、なんとなく疲れが抜けない…そんな不調に「これって私だけ?」と感じていませんか?
でも、ちょっと立ち止まってほしいのです。現代医学では原因不明とされるこれらの“なんとなく不調”は、実は漢方の視点で見ると、れっきとした「体からのサイン」。そして、そんなサインにやさしく寄り添ってくれるのが、スーパーの乾物コーナーにも並ぶ身近な食材「なつめ(棗)」です。
今回は、漢方の世界で“女性のための果実”とも呼ばれる「なつめ」の魅力と、それをきっかけに感じる「ゆる漢方」な暮らしの第一歩をご紹介します。
なつめってなに?
なつめはクロウメモドキ科の果実で、見た目は小さな干し柿のよう。中国では古くから滋養強壮に使われ、日本でも「大棗(たいそう)」という名前で漢方薬に欠かせない存在です。
ドライフルーツとして売られていることも多く、ほんのり甘くて、ふわっとした食感はおやつにもぴったり。しかも、美容と健康にうれしい成分がたっぷり詰まっています。
漢方的に見る「なつめ」の効能
漢方では、なつめは《補気・養血・安神》の作用を持つとされています。
- 補気(ほき):元気を補い、疲労回復を助ける
- 養血(ようけつ):血を養い、女性のリズムを整える
- 安神(あんしん):心を落ち着け、不安や不眠をやわらげる
特に女性は生理や妊娠・出産などで「血(けつ)」を失いやすく、「血虚(けっきょ)」と呼ばれる状態に陥りがちです。血虚になると、顔色が悪くなったり、イライラしたり、眠りが浅くなったりと、さまざまな不調が現れるとされています。
なつめはどんな人におすすめ?
こんな女性に、ぜひ試してほしいのが「なつめ」。
- 生理前に気分が不安定になる
- 冷え性で手足がいつも冷たい
- 疲れているのに眠れない
- 肌にハリがなくなってきた
- 甘いものがやめられない
これらなつめはそんな状態に、ふわっと寄り添い、自然なバランスを取り戻す手助けをするとされています。
「スーパーの棚から始められるゆる漢方」
「漢方」と聞くと、なんだか敷居が高いイメージを持つ人も多いかもしれません。漢方薬局で相談して、煎じ薬を飲んで…なんてちょっと大げさに感じてしまうこともありますよね。
でも実は、漢方の考え方はとってもシンプル。「季節と体のバランスを感じながら、自分の内側に耳を傾けること」。その第一歩は、スーパーの棚にある食材からでも十分始められるのです。
たとえば、なつめを:
- スープに数粒加えて、ほのかな甘みを楽しむ
- 紅茶に浮かべて、心安らぐティータイムに
- 朝のヨーグルトにトッピングして、エネルギーチャージ
漢方の食養生は、日々の食事に“ちょっと足すだけ”のやさしいセルフケア。これこそ「ゆる漢方」の真骨頂なのです。
漢方は“自分を大切にする学問”
最後にお伝えしたいのは、漢方は「病気を治す薬」ではなく、「自分を知るための知恵」だということ。
自分の体調に敏感になり、日々の選択を少しずつ変えることで、不調を未然に防ぎ、より心地よい毎日を手に入れることができる。漢方は、そんな“自分を大切にする学問”なのです。
まずは、スーパーの棚でなつめを手に取るところから。「あ、これが私の“ゆる漢方”のスタートなんだ」──そう思って、小さな一歩を踏み出してみてください。
その先に、もっと自由に、もっと心地よく生きるためのヒントが、きっと待っています。
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