量子コンピュータはもう誰でも使える?!自宅のPCでIBMの量子コンピュータを使う方法を伝授

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量子コンピュータ。それは今後の科学技術を根底から変えると期待されている革新的な技術です。従来のコンピュータが0と1のビットを使って計算するのに対し、量子コンピュータは「量子ビット(キュービット)」という仕組みを使い、複数の状態を同時に保持しながら計算を進めます。これにより、特定の問題においては従来のコンピュータよりも圧倒的な速度で計算を行える可能性を秘めています。

そんな未来の計算機を、なんと私たちも自宅から無料で使うことができるのです。IBMが提供する「IBM Quantum Experience(IBM Quantum Platform)」を使えば、ブラウザ上から本物の量子コンピュータにアクセスして、自分で量子回路を組み、実行することができます。

この記事では、完全初心者でも量子コンピュータに触れられるよう、

  • アカウントの作成方法
  • IBM Quantum Platformの概要
  • 実際に量子回路を組んで実行するまでの手順

を丁寧に解説していきます。


なぜ量子コンピュータを使うのか

「自分には関係ない」と思った方もいるかもしれません。しかし、量子コンピュータは今後、金融・医療・化学・人工知能などの多くの分野で革新をもたらすと考えられています。現在はまだ黎明期であり、知識を持っている人が少ないため、今から触れておくことは大きな価値があります。

特に、次のような方にはおすすめです:

  • 最先端のテクノロジーに興味がある
  • プログラミングを通してスキルを伸ばしたい
  • 将来的に研究や仕事に活かしたい

では早速、実際の使い方について見ていきましょう。


ステップ1:IBMアカウントの作成

まずはIBM Quantum Platformを使うためのアカウントを作成します。

  1. IBM Quantumの公式ページ(https://quantum.ibm.com/)にアクセス。
  2. 右上の「Sign in」から「Create an IBMid」を選択。
  3. 氏名、メールアドレス、パスワードなどを入力して登録を完了します。
  4. 確認メールが届くので、リンクをクリックして認証を済ませます。

これでアカウントの準備は完了です。

ステップ2:IBM Quantum Platformへアクセス

ログイン後は、以下の手順で実際の量子コンピュータにアクセスできます。

  1. ログイン後のダッシュボードにて「Launch Lab」をクリック。
  2. 「Quantum Lab」が起動します。ここではJupyter Notebookのような環境が整っており、Pythonを用いて量子回路を記述し、実行することが可能です。
  3. 画面左のメニューから「Start Coding」を選び、新しいNotebookを作成します。

この段階で、既にあなたは量子コンピュータを操作する準備が整っています。

ステップ3:Qiskitで量子回路を記述する

QiskitはPythonベースの量子プログラミングライブラリで、量子回路の作成、シミュレーション、実機実行をすべて行えます。

Notebook内に以下のようなコードを書いてみましょう:

from qiskit import QuantumCircuit, Aer, transpile, assemble, execute
from qiskit.visualization import plot_histogram
from qiskit.providers.ibmq import least_busy
from qiskit import IBMQ

# 量子回路の作成
qc = QuantumCircuit(2, 2)
qc.h(0)             # 量子ビット0にHadamardゲートを適用
qc.cx(0, 1)         # ビット0と1をエンタングル
qc.measure([0,1], [0,1])  # 測定

qc.draw('mpl')  # 回路図の描画(Jupyter上)

この回路では、量子ビット0を重ね合わせ状態にし、量子ビット1とエンタングルさせています。

ステップ4:実行とシミュレーション

まずはローカルシミュレータで実行:

simulator = Aer.get_backend('qasm_simulator')
compiled_circuit = transpile(qc, simulator)
qobj = assemble(compiled_circuit)
result = simulator.run(qobj).result()
counts = result.get_counts()
plot_histogram(counts)

結果はヒストグラムで表示され、どの出力が何回出現したかを確認できます。

ステップ5:実機で実行する

次に、IBMのクラウド上にある本物の量子コンピュータで実行してみましょう。

IBMQ.load_account()
provider = IBMQ.get_provider(hub='ibm-q')
backend = least_busy(provider.backends(filters=lambda x: x.configuration().n_qubits >= 2 and not x.configuration().simulator and x.status().operational==True))

job = execute(qc, backend=backend, shots=1024)
result = job.result()
counts = result.get_counts()
plot_histogram(counts)

このように、簡単なコードで実際の量子コンピュータにアクセスし、結果を取得できます。

ステップ6:結果を解釈しよう

量子計算は確率的な結果を返します。例えば 00 と 11 が同じ確率で現れることが、エンタングルメントのサインです。繰り返し実行することで、その分布をより正確に観察できます。

また、実機にはノイズがあるため、シミュレータとは違う結果が出ることもあります。これが「量子誤差訂正」や「量子ノイズ」研究の重要性につながっていくのです。


まとめ

IBMの量子コンピュータは、誰でも無料でアクセスでき、量子回路の構築から実行までを体験できます。

  • 登録と環境構築はわずか数分
  • Qiskitで簡単に回路が書ける
  • シミュレータと実機の違いを体験できる

この体験を通して、量子の世界がどのように動いているか、肌で感じることができます。今後の進化を担う一歩として、ぜひチャレンジしてみてください。

さらに深く学びたい方は、Qiskitの公式チュートリアル(https://qiskit.org/learn/)をチェックすると良いでしょう。

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